5回にわたり、中学受験グノーブルの国語科の先生による座談会を連載いたします。

-中学受験を通して身につける国語の力-
最近の国語入試の状況、国語の力を伸ばすためには何が必要なのか、グノーブルの国語の指導や授業の特色などについて国語科の先生3名に語っていただきました。(『グノレット』16号掲載予定「グノーブル 国語講師座談会」より)

第4回  国語の家庭学習はどのように進めればよいのか

yamashita山下ご家庭では難しいことをする必要はありません。先ほど教材の話で出た「面白い」というのは、学ぶべきものがあるという意味です。授業という場で先生やみんなとの対話を通して、その文章の理解が二歩、三歩と上がっていればいいなと思うものを教材として選んでいます。それは教師がいない限りはおそらくたどり着けない場所なのです。そうした読解の学習はあくまでも授業の中で行うべきです。
 他方、ご家庭で大切なのことは授業で学習したことを思い出すことです。もう一回「先生はこんなことを言っていた」「僕はこんな意見を言った」ということを、反芻しながら最後のページまで読んでもらえば、それでほとんど復習は済んでいると考えます。

hyodou兵頭:ご家庭では漢字や語句など自分で確実にできることに留めて、読解についてどうしても教えたいという保護者の方には、厳密さを求めすぎないようアドバイスをしています。「お子様が書いたものを読んで、よく書けていると思ったら○にしてください」と言ったことがあります。読解力は授業で身につけるべきものというのが原則です。
 また、家庭学習の時間は科目によるバランスが大切だと思うので、得手不得手や教科によって家庭学習の時間が異なるのは当然だと思います。

山下:授業でやった問題を家で解き直すことをあまり強く言ってはいません。国語そのものが好きになるような学習が大切だと思います。

oobayashi大林:私も「授業で先生が言っていたことを、ノートを見て思い出すように」ということを言っています。受験学年では問題処理の練習をするという意味で、短い文章でパッと解くというような練習を勧めることがあります。

兵頭:生徒たちは授業で目いっぱい脳に汗をかいて頑張っていますので、その姿勢がある限り家庭学習に依存する意味はないと考えています。
 また、決して国語の家庭学習を否定しているわけではありませんので、注意していただきたいと思います。その一方で、長年指導している経験から、家庭で学習した痕跡を残すこと自体が目的化してしまった「家庭学習のための家庭学習」も数多く目にしてきました。
 家庭学習については、お子様の各科目の学習状況を踏まえて適切なアドバイスをいたしますので、気軽に教師へご相談いただければと思います。

理想の授業とは

山下:「もう終わりなの?」という授業をしたいです。また、とにかく生徒たちに文章を読んで感動してもらいたいと思います。初めは感動がなくても、最後の5分とかで「もう一回1ページの○行目を見てみようか」と言ったときに生徒たちが「あっ!」と気づくことがあるんです。「そういう意味だったのか」と。すると私が何も話さなくても生徒たちの表情が変わります。顔にパッパッパッと灯がともる感じです。じっくり読むとすごく面白い、じっくり読むとあとで感動する、そんな経験を毎回積んでいってもらえたらよいと考えています。

大林:繰り返しになりますが、文章の内容と一見関係がないことでも、後々身になることがたくさんありますから、関係のないことや雑談であっても楽しく話しつつ、お互いに会話を楽しむように進めることを心掛けています。

兵頭:先程もありましたが生徒の「気づき」はとても大事です。教師は教えることよりも、生徒に何とか気づかせる、ここまで話せば気づけるのではないかなというところを伝えるのが大事だと思います。
 なかなか気づいてもらえないこともありますが、全部説明してしまうと台無しになるので、いかに説明しないで気づかせるのか、ぎりぎりのところまで触れるのです。それができたときは「授業がうまくいった」という感じがします。

山下:こちらがうまくお膳立てをして、少し階段を昇りやすくしてあげたりはしますが、最後の一段は生徒本人が「こういうことか」と自分の力で書けるようにします。最後の一段を生徒自身が昇りきらないと「教え込まれた形」になってしまいます。自発性や能動性がないと活かせる知識にはならないので、最後は子どもが自力でたどり着いたという感じで終わらせたいと常々思っています。
 生徒とああでもないこうでもないと会話することは本当に大事だなと思います。自分の経験で言えば、読解の時間に制約があるとどうしても急ぎ足になってしまい、生徒に十分伝えることができなかったという思いに駆られることが多くありました。
 また授業中には必ず添削を行います。少人数ということもあり、生徒個々に添削する場合も待ち時間が少ないですし、クラス全員の意見を聞いても授業の展開に支障がありません。きめ細かく指導するうえで、私たちにとっても、生徒たちにとっても望ましい環境だと思います。

国語講師座談会 出席者のご紹介

大林 和弘・兵頭 徹治・山下 倫央(中学受験グノーブル国語科)