今回の「職員室から」は、中学入試の算数の意義についての2回目です。

前回では、算数と数学は別のものだととらえられがちだけれども、『数』を基本として「情報・条件を整理する能力」を養うという本質の部分は共通であり、算数でしっかりこの部分を学習しておくことは中学や高校で数学を学んでいくときに大きな武器となることを説明しました。

さて、そもそも中学入試の算数の問題は、中学入学後の数学で必要になってくる要素を意識しながら作られるという面があり、またこのような面があるということは、入試問題が本来持っている役割の一つでもあります。

中学入試の算数の問題を見てみると、小学校で学ぶ普通の算数のイメージとはかけ離れているように思えるものも大変多くなっていますが、なぜこのようになっているのでしょうか。それは出題する中学校の先生方が、入学した後に必要になってくる力を受験生が備えているのかどうかをチェックしようとすると、どうしても難度の高いものも織り交ぜておかないといけなくなってくるという事情があるからなのです。

それもただ難しければよいというわけではなく、受験生の能力や、学習の成果をうまく判別できるように練られたものになっていないといけません。

入試で出される問題の背後には、このように算数と数学のつながりと関連した意義が潜んでいます。中学受験をする生徒さんは、ときどきその意義を考えながら、また内部からの進学を考えている生徒さんも、中学での「数学」を学ぶ際に必要になってくる、重要な要素を身に付けるいい機会だととらえて、夏の学習に意欲的に取り組んでいきましょう。