5回にわたり、中学受験グノーブルの理科科の先生による座談会を連載いたします。

-中学受験を通して伸ばす理科の力-
中学受験の理科の特色や効果的な学習法、グノーブルの理科の指導や授業の特色などについて理科科の先生3名に語っていただきました。(『グノレット』18号掲載予定「グノーブル 理科講師座談会」より)

保護者の理科の学習のかかわり方

nagai永井 「私が文系だったので…」「私が子どものときに理科が苦手だったので…」、このようなお話を保護者の方からうかがうことは少なくありません。もちろん謙遜なさっているのでしょうが、ご自身が文系だったことや、理科が苦手だったことを気にされて、そのことがお子さまの理科に対する苦手意識を助長してしまっている可能性があるのではないかと思うこともあります。

仮に、親が子どものときに理科が苦手だったのであれば、その経験を活かせばよいのです。例えば、ご自身の経験を振り返ってみたときに、幼少期に理科に対して好きと思える経験が少なかったなぁと思われるのであれば、お子さまが興味を持てる環境にしてあげることが大切です。また、今から思えばあの時期のあの学習の理解が十分でなかったためにその先がつまらなくなったのかなぁと思われるのであれば、そういった学習をする日に「今日塾でやる内容は、お母さんが子どものときに全然わからなかったんだよね。帰ってきたら教えてよ!」と子どもに声をかけて塾に送り出してみてはどうでしょうか(このような先入観を与えること自体についても思慮すべき点もありますが)。そういった環境やご家庭で補いきれない部分を提供することがグノーブルの授業だと思っています。


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 先に述べたように、理科では問題を考え、解くために必要な原理や原則が分野・単元で変わることがあります。例えば、生物の生態系の単元では、その生物にとって損得を考えるとこういう行動をとるというような解答の鍵になることが、本文や問題文に説明されていたり、小問の中にそれに気づけるような誘導が組み込まれていたりして、国語の読解問題のように解答を導くことができる問題もあります。もしかしたら、先ほどの「私が文系だったので…」と謙遜された保護者の方が、数学や物理を究めた方よりも教えやすいかもしれませんよね。

物理の電気の単元では、ルールが決まっていて、そのルールに従って電流が大きいか小さいかを考えればよいだけの問題もあります。ある意味で至極単純なゲームと捉えられます。楽しみながらゲームをたくさんしていくことで、だんだんとそのゲームが上達し、学力が身についていきます。こういった過程で理科を好きになることも一つの方法です。

このように、理科ではポイントとなるツールが分野によって全く変わってきます。保護者がご自宅でお子さまの勉強を見てあげる場合、ご自身が不得意な単元が出てくる場合もあるでしょう。こうした時のために私たちがいるのですから、わからないところは塾でどんどん質問をしてほしいと思います。また、今、苦手な単元も他の教科の学力が高まっていくことで力がついてくる場合もありますし、現状で何が必要なのかをアドバイスさせていただきます。

uehara上原 大学受験では4分野それぞれ別の科目となりますから、理系の大学を出た保護者の方でも、すべて把握ができているとは限らない場合があります。また、5年生になると、4年生では登場しなかったような力学や化学計算などがでてきて内容的にも難しくなっていきます。

授業では原理原則をしっかり説明しています。例えば「月の公転図において月がここにあったら三日月に見える」と覚えるのではなくて、「なぜそこに月があったら三日月に見えるのか」を大切にして授業を展開しています。お子さま方の学習内容のレベルが上がっていけばいくほど、ご家庭でこのように根本からの理解を指導することは難しくなっていきます。こうしたことは授業を通じて講師が教え導くことがらです。

もし、お子さまの学習を助けていただけるのであれば、お子さまが授業で扱った内容を説明できるかどうか、お子さまの説明を聞いてあげることだと思います。その説明が細かい点で正しいか間違っているかの判断はさておき、論理的に整合性があるかどうか聞いてあげたり、言葉や表現はつたないけれども一生懸命説明してくれている点を評価してあげたりしてほしいです。このようなことが次の授業に活力を持ってのぞめる好循環をうみ出すことにつながります。ご家庭で理科に関する会話を楽しむくらいの余裕があっていいのだと思います。

理科講師座談会 出席者のご紹介

上原 佑・永井 裕康・森 英明(中学受験グノーブル理科科)