こんにちは。今回の「職員室から」は、2回に分けて中学入試の算数の意義についてご紹介します。受験生にはもちろんのこと、現在私立や国立の小学校に通っていて、中学校へは内部進学を考えていらっしゃる生徒さん、またその親御さんにもこれからの学習の進め方を考える上で是非お読みいただきたい内容です。
中学校に入学すると、数字や計算、図形などについて学ぶ科目の名前が「算数」から「数学」へと変わります。算数では扱わなかったxなどの文字を使った方程式が出てきたり、図形もグラフを利用して考えるものが出てきたりと、数学になるとこれまでとは違った面が多く出てきます。こうしたことから算数と数学は別のものだととらえられてしまうことも多いのですが、どちらも『数』を基本として様々なことを考えていく科目であるという意味では全く同じものです。
例として、いろいろな問題を解決するのにとても役に立つ方程式について考えてみましょう。
方程式を立てるときに欠かせないのが「情報・条件を整理する能力」です。中学入試の算数の問題のような、難度が高く、設定も複雑なものをたくさん演習しておくと、この「情報・条件を整理する能力」がしっかりと身に付き、中学や高校で数学を学んでいくときに大きな武器となります。
算数と数学の違いとして、方程式の有無が挙げられることがよくあるのですが、それは表面的なことであり、背後にある概念や必要となってくる能力には実は大きな違いはないといえるのです。
『小学生は図などを用いてつるかめ算を解くが、中学生なら方程式で解く』という言い方は正しいと言えるでしょう。しかし、これは解くために用いる道具の違いを表しているという意味で正しいのであり、その背後で必要となっているものまでが異なっているということを表しているわけではありません。
小学生が図の使い方や作り方を学んだ後に必要になるもの、中学生が方程式や文字式の扱い方を学んだ後に必要になるものはどちらも同じで、情報を図に、あるいは式へと的確に変換する力であり、この力を高めていくことが算数の学習であり、数学の勉強なのです。
その2へ続きます・・