4回にわたり、中学受験グノーブルの算数科の先生による座談会を連載いたします。

-中学受験で伸ばす算数の力-
中学受験の算数の特色や効果的な学習法、グノーブルの算数の指導や特色などについて算数科の先生3名に語っていただきました。(『グノレット』20号掲載「グノーブル 算数講師座談会」より)

第1回 グノーブルの算数の指導1 低学年の学習

頭脳の発達に合わせて無理なく導く

伊藤:グノーブルでは、最難関中に合格できる学力を無理なくつけられるように作成したオリジナルのカリキュラムと教材が、1~6年生までそろっています。中学受験の学習が本格的にはじまるのは新4年生の2月からなので、カリキュラムはそこからあらためて初出の内容として学べるように組まれています。では、1~3年生の間にグノーブルの算数で何を学ぶかというと、1つは4年生以降の学習につながることで有意義になるような内容、もう1つは、4年生以降で時間的な制約があることも含めてなかなか扱えないような算数的な内容です。

三原:4年生以降につながる内容を1~3年生で学ぶというと、一見先取り学習のように聞こえてしまうかもしれません。しかしこれは1~3年生のうちから4・5年生の内容を学習していたら先々楽、というような考え方とは異なります。 小学生の理解力、成長の度合いというのは一般的に年齢によってある程度は決まってきます。たとえば論理的思考力というのは、家族や友達との日常の会話や普段の読書などのさまざまな経験、また算数以外の教科学習を通して表現力や理解力を培う中で養われていく面があります。1~3年生から4・5年生の問題の解法テクニックを使って教える訳ではなく、その学年に適した方法で導いていくことが大切だと考えます。 
一方で1~3年生の学習指導要領の内容は、塾で扱うには大分やさしいものです。グノーブルの教材でも1・2年生の中には学校の進度より若干先に進んでいる部分はあります。ただし問題を解く場合でも4・5年生で行うような解かせ方とはまた別の、その場で考えさせ、面倒でもわざと全部を書き出させるような作業をする力が必要なものを多く取り入れています。こうした作業をする力は、高学年になり、入試が近づいてくる中では養うのがなかなか難しいものです。

伊藤:4年生以降のカリキュラムは入試に間に合うように考えられており、分野ごとに学習を組み立てていくので、どうしても駆け足で進まなくてはいけない部分があります。そのため4年生以降ではなかなか入れにくい、しかしぜひ触れておきたい大切な題材を1~3年生までの学習で多く取り入れるように作っています。

毎日の日付に合わせて計算力向上のトレーニングができる「基礎力テスト」。1~6年までの各月ごとに配布される。

三原:身につけたい学力という点で言うと、低学年のうちに計算力はつけておきたいです。算数が苦手な4・5年生の中には、考え方や立てた式は正しいけれど答えが間違ってしまうというお子さんもいらっしゃいます。こうした計算ミスによる誤答を繰り返していると、本人のやる気、モチベーションが下がってしまいます。低学年のうちからさまざまな計算問題を解いて力をつけておくと、受験を意識したカリキュラムが始まったときにスムーズに力を発揮できます。

さらに学びたい気持ち、深く理解する満足感を育てる

盛田:先ほど話題に出た先取り学習に関してですが、ごく少数とはいえ中には早いうちから高度なことを理解できる、好奇心の強いお子さんというのはいらっしゃるものです。そういったお子さんに枷をはめたくないとも考えています。この点については本人の自発性が第一で、すべてのお子さんに先取りが効果的だとは考えていません。一方的に後々楽だろうからと先取りをさせるというのは難しいと思います。グノーブルでは全体のカリキュラムとして先取りはしませんが、本来的には自ら学びたいお子さんを進ませることは望ましいと考えています。

三原:グノーブルでは1回ごとの学習で基本的なことをしっかり習得しつつ、かなり深い内容まで学ぶことができるカリキュラムになっています。どこまで深く掘り進めるかは、そのときの生徒の様子などによって変わりますが、常に深い内容までしっかりと学ばせたいと思っています。分野として先取っていくというよりは,1つ1つの基本をしっかりと学び、深いところまで理解を進めることでそうしたお子さんも十分満足できるのではないかと思っています。

算数講師座談会 出席者のご紹介

伊藤 琢真・三原 孝志・盛田 一樹(中学受験グノーブル算数科)