5回にわたり、中学受験グノーブルの理科科の先生による座談会を連載いたします。

-中学受験を通して伸ばす理科の力-
中学受験の理科の特色や効果的な学習法、グノーブルの理科の指導や授業の特色などについて理科科の先生3名に語っていただきました。(『グノレット』18号掲載予定「グノーブル 理科講師座談会」より)

グノーブルの理科の特色とは~その2 先を見据えて学び、その過程として合格する~

nagai永井 さらに例をあげると「物体の運動」という単元を4 年の夏期講習に学習します。ここでは細かいことを覚えてもらうのが目的ではなく「物はなぜ落ちるのか?(重力)」とか「斜面での摩擦や空気抵抗」などの概念を身につけてもらいたい回です。さらには「ピサの斜塔での落下実験」などを話しつつ、落下運動の法則なども扱います。

その一ヵ月後にまったく別の単元である「流水のはたらき」の授業を行ったときにこんなことがありました。授業では、川を運ばれてきた土砂が海底で積み重なって地層ができることを学習します。粒の大きいものはすぐに沈むので河口の近くにたまり、粒の小さなものは沈むのに時間がかかるので河口から遠いところで堆積するという内容です。粒の大きいものがすぐに沈むというのは感覚的に理解しやすいのですが、ある生徒が「でも、前にやったピサの斜塔の話の落下の法則だと、重いものも軽いものも同じ速さで落ちて同時に地面につくはずだったのに、どうして今回は大きい粒の方がはやく沈むの?」という疑問を投げかけてくれました。以前の授業で学んだことがきちんと頭に残っていて、疑問を抱いたのです。他の生徒も「ちょうど私も今そう思った」とか「そういわれてみれば」となり、そこからはその生徒の質問で授業が進みました。空気抵抗の大きさと水の抵抗の大きさのちがい、それぞれの抵抗の大きさに対する物体の重さの割合のちがいなどの話で理解を深めることができました。まだこの時期だと「難しいことは分からないが、何となく先生の言っていることはわかる」という程度の生徒もいたかもしれませんが、4 年生のうちから理科の大切な法則や原理をキチッとおさえて積み木のように積んでおく、そして少しずつでもそれを活用して物事を考えていくといった姿勢が子どもたちに芽生えるように考えています。

5 年生では主要単元が次々と出てきますが、4 年生で培ってきた理科で知っておきたい常識事項をきちんと捉えておいてくれれば、仮に細かい言葉などを忘れていても有機的につながってきます。こういったカリキュラムと授業で脳の活性化がはかれるわけです。このことで子どもたちは喜びを感じることになります。「あれってそうだったのか!」「じゃあこれも!」と。多少速い進行のカリキュラムでも4 年生と5 年生で一通りのことを履修する意味がここにあるのです。4 年で常識をつくり、5年で深く掘り下げたものを、6 年生で昇華させることになるので、高度な討論にもついてこられるようになります。一気に生徒たちの理科力を受験の先まで持ち上げることができるようになります。中学受験の合格だけがゴールじゃないということをふまえて、ベーシックなものの確認をしながらも先への可能性も止めない、それがグノーブルの理科です。理科への興味を抱き続けられるよう先を見据えて学び、成長し、その過程として合格をするというのが理想です。

mori2森 4 年生で興味・関心を持ち基本的な原理原則を知りつつ常識的な知識を身につけるようにする。5 年生になると、完璧ではなくとも知識と解法を完成させることになります。6 年になって応用問題を解けるようになるためにも、少し難しくなると思いますが一歩ずつ進めていきます。授業中意識していることは、授業ではノートに書くことがメインにならないようにすることです。情報量が多くなると板書量が増えていきますが、頭を使いながら書いてもらえるような発問を繰り返すように工夫しています。

5 年生の前半では知識中心に、後半では算数で「比」「割合」の学習が済んでいることも踏まえての化学計算や力学計算が登場し、その解法をしっかり学ぶという流れになっています。そして6 年生になって今まで蓄えたものをしっかり使えるようになるのです。もちろん途中から入室してくる生徒もいますから、過去の学習内容を反復して定着をはかるための教材(基礎力テスト)も用意しています。また個別にどんどん質問ができる環境を整えて、サポートしています。

uehara上原 4 年生はまだ小数や分数の扱いに慣れていないので、計算分野はほとんど扱わずに、メダカや昆虫といった身近な生物や観察できる身の回りの現象を中心に学びます。受験までまだ余裕があるので,身近な理科的なことにじっくりと取り組んでいきます。私が心掛けていることは、学年を問わずに授業が終わったあと、楽しかったと思ってもらえるような授業をするということです。理科というのはそう感じてもらうことができる科目で、原理原則を考えたり、知ったり、学んだりが楽しくなる学習をすることが重要だと考えています。知識事項の授業だったとしても、説明の仕方次第で子どもたちの喰いつき方がちがい、強い印象を残せるようにできます。子どもたちが各単元で少しでも大きな感動を得られるように日々意識して授業にのぞんでいます。

また、先ほど「基礎力テスト」の話が出ましたが、覚えなくてはいけないものはきちんと覚える、トレーニングするべきものはしっかり反復することはとても大切です。苦手とする生徒の多い電気回路の問題などでもしっかり練習することで必ず解けるようになります。そういう教材は当然準備してあります。

永井 生徒にとっては、やはり何と言っても志望校に合格することが第一です。そのために必要な知識は覚えなくてはいけません。それを踏まえたうえでカリキュラムを組み立て、教材を開発しました。覚えるものは覚える、トレーニングをするものは反復する、最後に入試でもきちんと点数を取るためのものはそろっていますので、塾の進度に合わせて勉強してほしいと思います。

 

理科講師座談会 出席者のご紹介

上原 佑・永井 裕康・森 英明(中学受験グノーブル理科科)